最終更新1997年9月27日

大学紹介ビデオ制作のお知らせ

 「広島女子大学ビデオインフォメーションのご案内」(制作者による詳細な報告)はこちらにあります。

 現代はマルチメディアの時代。大学紹介も,今までの印刷物による紹介ばかりではなく,もっと映像を駆使して立体的に行う時代です。そこで,我が広島女子大学も大学紹介ビデオを制作しようということになりました。下調べに,全国の主な大学の紹介ビデオを収集して見てみると,それはすごい。テンポのいいBGMが流れます。明るいキャンパス,明るい笑顔,楽しそうな授業風景,そして活発なサークル活動。さらに,空撮や海外ロケまで盛り込まれたりしており,どんどん雰囲気を盛り上げてくれます。見た人は,だれでも行きたくなるのは当然という感じです。それというのも,ほとんどの大学では専門の業者に依頼して制作してもらっているからです。プロの技術と機器を駆使して,テレビで流してもおかしくないレベルの作品に仕上げているのです。

 一方,我が広島女子大学はというと,諸般の事情でというと聞こえはいいのですが,あまりお金がないというのが本音ですが,自分たちで紹介ビデオを創ろうというのです。考えてみると,これはかなり無謀なことです。だいたい,お金はもちろん,専門の技術も機器もないところに,どうやって創ったらいいのでしょうか。途方に暮れました。しかも,何とか創ったにしても,他の大学の紹介ビデオと比較されて見劣りがするようでは,創った意味がありません。それは,そうですよね。見劣りがするような紹介ビデオでは,逆効果になってしまいます。それなら,いっそのこと創らない方がまだずっといいということになります。

 このような状況で,しかしながら我々「広島女子大学ビデオインフォメーション制作委員会」(かってに名前をつけた)は取りかかりました。撮影のアポ取りから実際の撮影,シナリオ,ナレーション,BGM,特殊効果,テロップ,編集まで,試行錯誤を繰り返しながら,やりました。どうせ,創るんならできるだけいいものを創りたい,それは我々スタッフの共通の認識でした。みんな,個人の事情は棚上げで(教採試験・就職試験の準備,家族旅行,同窓会,アルバイト,デートなど,私も学会を一つキャンセルせざるをえませんでした),自分たちの大学のすばらしさを世間にアピールするんだという一つの目標に向かって,本当によく頑張りました。そして,プロが制作したものにも負けない,会心の作ができたと自負しています。我々も,自分たちの大学のために微力ながら貢献することができて,心地よい達成感を味わっています。

 このビデオ制作は,当初あまり予想しなかった効果も我々に及ぼしました。それは,テレビや映画の見方が変わったということです。画面のつなぎや特殊効果の使い方,カメラワークなどを意識して映像を見るようになったのです。いうならば,つくり手側の意識や技術を意識しながら映像を見るということです。これは,21世紀に向けてより重視されてきているメディア・リテラシーと呼ばれる能力と考えることができます。我々は,知らず知らずのうちに,このメディア・リテラシーの育成を図ってきたのです。実際,教育方法という立場から考えると,今回のビデオ制作はメディア・リテラシーを育成するための総合的なワークショップと考えることもできます。静的な教室授業ではなかなか修得することができない能力も,このようなまさに自分自身が当事者になって一番最初から最後まで体全体を使った問題解決を行っていくような形態の授業では,修得し,深い理解へ至ることが可能なのです。こういう立場から,私自身授業の方法論について再検討する気づきを与えていただきました。

 このコメントをお読みになった皆さんには,とにかく一度見ていただきたい。そして,感じ取っていただきたい。僅か11分30秒の短い作品だけれど,我々の精一杯の努力と工夫が込められていることを。

 広島女子大学紹介ビデオ「広島女子大学−伝統と明日が交差する光のキャンパス−」は,本学教務課(082-251-9710)で貸し出しを行っております。是非一度,ごらんいただけたらと思います。