最終更新1997年6月28日

学校給食共同調理施設

長谷川仁志

 1997年6月、広島県倉橋町で10小・中学校のうち9校の児童・生徒ら計 355人(26日現在)が食中毒に罹った。共同調理施設の給食が原因とみられている。

 学校給食共同調理施設からの集団食中毒は、96年5月、岡山県邑久町の4幼稚園、5小・中学校に配食する共同調理施設から3幼稚園と4小学校で発生、2人が死亡している。これは、腸管出血性大腸菌O-157による爆発的流行の始まりであった。

 また、96年7月には、大阪府堺市で90市立小学校と2養護学校のうち、市内3ブロックのうち2ブロックの61校でO-157中毒が発生し、患者6561人、死者2人を出した。各校とも個別調理方式で、学校に原因はなく、特定の生産施設から特定の日に出荷された非加熱食材の可能性が高いとされた。なお、食材の配送は、1業者が保冷機能がないトラック7台で92校に早朝配送し、調理職員が登校するまで室温で放置されていた。

 このように、共同調理や食材の共同購入はいったん食品が汚染されると、調理から給食までの時間がかかり細菌が増殖することもあって、広い範囲に渡り多数の人に食中毒を発生させる可能性が高い。

 学校での食中毒予防のため、厚生省は「大量調理施設衛生管理マニュアル」をまとめ、これを基に、文部省は「学校給食衛生管理の基準」を設け、教育委員会などを通して食品衛生管理の徹底を指導している。

 個々の調理施設での衛生管理はもちろん重要であるが、その責任を、学校管理職や栄養士、調理員など学校現場にのみ負わすのではなく、多くの市町村で増加しつつある共同調理施設についての見直しや施設整備、職員の確保など行政の責任は大きく、重い。

 子ども達の健康と豊かな食生活を守るために、経済優先の論理を先行させてはならない。

(おわり)