最終更新1997年2月22日

赤ちゃんの運搬法,昔と今

木本尚美

 赤ちゃんの運搬法にも流行があり,様変わりが見られます。20年くらい前までは,ねんねこばんてんで赤ちゃんを背負い,冬場はその上にママさんコ−トを着込んだお母さんの姿を街中でも見かけたものですが,今ではすっかり見なくなってしまいました。お母さんの背中で赤ちゃんが深く寝入ってしまい,首がグラグラしているのを目にした記憶も昔のことになりました。その後「だっこベルト」なるものが普及し,だっこが楽に,そして一層ファッショナブルになりました。赤ちゃんの表情がよくわかる,話しかけることも可能,傘をさす時もかばうことができるし,タクシ−に乗るとき頭を打つ心配もなく抱いたまま乗れるという利点があり納得できます。それに比べるとおんぶは,たすきがけで胸の形があらわになる,前形姿勢はオバサンくさい,いっぺんに所帯じみた感じになる・・・・。そんなイメ−ジがおんぶが敬遠された原因のようです。さて今どきのお母さんは家にこもってばかりではなく,乳幼児連れで外出する機会が多く,楽しむことにも積極的です。そのため現在では赤ちゃんの移動はベビ−カ−が重宝されているようです。レジャ−施設やデパ−トで若い夫婦が赤ちゃんをベビ−カ−に乗せて移動したり,ショッピングしている光景をよく目にします。ベビ−カ−は赤ちゃんの体重を支える必要もなく軽量でコンパクトにたためるもので,便利な赤ちゃん用品の1つのようです。1ヶ月〜2歳くらいまで使用でき,水平までリクライニングできるので,ねんねの時期から使えるA型と,6ヶ月〜2歳くらいまで,お座りができる頃から使えるB型とが育児雑誌にも紹介されています。その昔乳母車と呼ばれていたものが改良されたものなのでしょうか。こうしてみると赤ちゃんの運搬法も次第に変化し,お母さんの身体とは分離されるという形になりました。目下のところは手軽でファッション感覚の高い,そしてお母さんにも負担がかからないというものが人気のようです。今後21世紀にはどんな運搬法が登場するのでしょうか。

(おわり)